WCAF Vol.11 in 福井 にて、デザインについて話してきました

前回の大阪に続き、@shirokuro331 さんに、今度は福井に来てしゃべりませんか?というご依頼をいただき、日本海カニにつられて福井に行って来ました。福井の意識高いデザイナーのイベント「wcaf」(ダブキャフ、と読むらしい。カッコイイ。)、イベント自体もとてもおもしろく、また福井のITシーンの熱さに大変刺激を受けました。カニもすごくおいしくて、また福井行きたい。
前回と同様のネタの再演という予定だったんですが、全く同じことを話すのもなんかなあ、申し訳ないなあと思っていたところ、木曜日になって新しいネタを急遽思いついて、前日の夜に急いでスライドを書いたら意外と間に合ってしまったので、両方話させていただきました。おかげで、前半はかなり駆け足の発表になってしまい、ちょっとわかりにくかったかもしれません。。すみません。


こちらは、ズルいデザインの方で前回の大阪と内容はほぼ同じです



新しい方はこちらです。 @ppworks さんの we love heroku のデザインリニューアルについて、アドバイスをした内容をスライドにまとめました。

デザインは、目的のための最適化のメソッドなので、本来は、何か実例をもとにしたケーススタディが一番わかりやすいと思っていたのですが、今までそういうのにピッタリな例を用意できていませんでした。このプレゼンの2日前の木曜日に、@ppworksさんにカフェでご飯を食べながら、we love heroku のデザインの相談を受けて、1時間くらい口頭であーだこうだ言ったら、デザインがかなり良くなり、@ppworks さんもデザインの勘所を身につけてきていたので、こりゃおもしろいと思い、ネタにさせていただきました。
お伝えしたかった事は、エンジニアがデザイン覚えるのは(感心さえあれば)きっと可能だということです。(もちろん、既にデザイン上手なエンジニアさんもいる)。デザインが上手くいくコツというのは、ある程度法則性に基づいた収斂があり、そのパターンの引き出しを増やしていけば上達する。また、デザインのキモは適切な情報設計ということで、これらは理論で展開できるので、エンジニアさんにもとっつきやすそう。そんなことをお伝えするためにスライドを急遽もう一本作ったんですが、会場はデザイナーさんの方が多く、やや内容的に外してる感がありました。

会の内容は、こちらの記事がとても詳しく、大変参考になりました。ありがとうございます。
WCAF vol.11「Design」のレポート(スライド・感想・メモ) - 役立ちぬ開発史、それはただのブログ

コンテンツを意識したデザイン思考 by @toybox_design さん

スキュアモーフィズムとフラットデザインの対比をUXの視点から理論的にわかりやすく説明されており、大変素晴らしいプレゼンで、勉強になり、大変共感しました。そしてスライドが美麗だ!
実世界の比喩を可能な限り排除して、画面内の情報の本質で勝負しようというのが、昨今のフラットデザインと呼ばれるものの試みの思想的背景であると思います。例えば、英語のネイティブスピーカーは、一旦自分の慣れた他の言語に翻訳することなく、直接英語を英語のまま理解して使いますが、それと似たようなことがスクリーンの中でも起こっているのだと解釈するとわかりやすそうです。これからはデジタルネイティブの時代なので、実世界の作法の翻訳ナシでも、直接デジタル界の作法を理解しろよお前ら、という世界観の表明。それ自体は有意義な試みであり、時代の流れの中の必然なのだと思いますが、しかし、iOS 7 とかに限定して思うのは、従来非言語で説明できていたものの多くを、言語説明に頼らなければならなくなってしまったのは、ちょっとそれデザインの敗北なんじゃないかなー的な感じもしており、要は、私も iOS 7 のデザインはあんまり好きくないです。フラットUIそのものを否定するわけではないんですが、iOS 7 は色々つらい。あんまキレイじゃないし白すぎるし動きは大げさすぎて誤動作誘発するし、まあつらい。ユーザーを置いてきぼりにしたデザインのためのデザインという感じがして、しかしそのデザインが言うほどカッコヨクないのがまた腹立つ。iOS 7 のデザインの悪口ならいくらでも出てくるので、iOS 7 をDisる会みたいなのがあったら行きたいです。懇親会でタチバナさんとiOS 7の悪口で盛り上がろうと思っていたのにすっかり忘れてカニに夢中になってしまったのが心残りでありますが、カニ美味しかったしまあいいか。人のスライドの感想に乗じて、iOS 7の悪口を言っただけになりました。

What’s MVP、MVP Global Summit by @xin9leさん

https://skydrive.live.com/view.aspx?cid=6bb303f9b4513bfc&id=documents&resid=6BB303F9B4513BFC%2118721&app=PowerPoint&authkey=!AFzDy04bqjLuJEE&&wdSlideId=258&wdModeSwitchTime=1386968399344
(スライド貼れなかった…スミマセン。。。)

マイクロソフトMVPについてのお話。MVPってカッコイイよなあ。マイクロソフトって最近イケてるっぽい噂はよく聞く。噂だけはよく聞くのだけど、やっぱり自分で殆ど使わなくなってしまったのでよくわからない。そして使う気にまだならない。Web開発者にとって(自分の周辺だけなのかも?)の長年のイメージの蓄積がなんかこうすごくネガティブ寄りになっていてかわいそうな感じがある。ビル・ゲイツだってなんか金の権化っぽい言い方されるけど実際全然そんなことないだろうし、冷静に考えて、ビル・ゲイツスティーブ・ジョブズだったら、断然ビル・ゲイツの方がいい人だと思うし、ギーク感溢れる「こちら側の人」って感じがして好感持てるよなー。ジョブズとかさ、トーク上手いけど、伝記とか読むととにかく突き抜けた嫌な人なんだなあという感想しかない。カッコイイけど、完全にあれ、嫌な奴じゃないですか。まあ、好きなんですけどね。

プログラマ & デザイナのコミュニティの作り方 by @satococoa さん

我らが海老沢さんの #p4d についてのお話。p4d すごいですね。デカくなりましたね。Facebookグループの人数も合計400人を突破したようで、大人気のコミュニティに成長した事を実感します。私も p4dのおかげで、全く誇張ではなく人生が変わりました。RailsもGitもp4dがなければ触れることはなかったかもしれない。仕事も技術の知識も発表の機会もp4dのおかげで頂きましたが、なんといっても一番は、尊敬できる仲間に出会えた事です。p4dのユニークなところに、常連メンバーにバックエンド方面に強いエンジニア(Rubyの人)が多いというのがあると思います。これだけ、バックエンド寄りのエンジニアとデザイナーが積極的に交流するコミュニティは、かつてあんまりなかったんじゃないでしょうか。海老沢さんは、p4dにしても、RubyMotionのコミュニティにしても、本当に良質なコミュニティを運営することに長けたリーダーなのだなあと思います。自分的に主催とかとても無理ぽいし、マジリスペクトです。まさにえびちゃん様様です。割と大らかでありながら、締めるところ必ずしっかり締めてくれる感じのあのバランス感覚が素晴らしいのだろうなあ。
海老沢さんの働きかけもあり、p4d的な動きは各地に波及し、大阪のpmdをはじめ、p4d in 福井が立ち上がりました。楽しみ!

Programmer’s Brain by @xin9leさん

https://skydrive.live.com/view.aspx?cid=6bb303f9b4513bfc&id=documents&resid=6BB303F9B4513BFC%2118722&app=PowerPoint&authkey=!AF2uaMJ5hpN1SbQ&&wdSlideId=258&wdModeSwitchTime=1386968452663

プログラマの頭の中をのぞくという発表。プログラマさん、日々お世話になり接することも多く、まさにあるあると頷かされる内容でした。なんですかね、割と好きな人種なんですよね。理屈で話せば通じるし、理屈がちゃんと通っていれば納得してくれる人が多い感じが好きですね。我々には見えていない世界が見えていて、違う確度から物事を見ていてはっと気付かされる事も多く、ああいうのいいなあと思います。プログラマさんの視点が、自分の中にも欲しいなあと常々思います。

DESIGN for FUKUI のススメ by @taisukef さん

日本のモバイルのフルブラウザの先駆けである、jigブラウザでも名高い、株式会社 jig.jp 社長 福野さんの、福井のアツイ ITシーンについてのプレゼン。感動しました。福井では行政が率先してWeb上にライセンスフリーなデータを公開する「オープンデータ」への取り組みが日本一盛んで、福野さんはその立役者とも言える存在。こういうスゴイ方がとてもフランクにふらっといらっしゃるのもwcaf の凄さだなあ。さらに圧倒されたのはなんといっても「一日一創」、福野さん自ら、1年365日間毎日Webアプリを一つ作り続けるという実践をされている。一日一アプリ、この機動力、発想力、実行力、ヤバイ。そんなコードを自ら書き続け作り続ける社長、福野さんが説くデザインの重要性。いいアプリも、いいデザインがないと使ってもらえない。デザイン次第で、受け止められ方が変わる。福野さん自らデザイナーにもなる!と宣言されており、アツイ。有限実行の方だし必ずや上達されそうだ。
福井のITはなぜこんなにアツイのかとお聞きしてみたところ、福井は民放が4局しかなく、テレビ朝日系列とTBS系列が無いんだそうで、そのおかげか日本一スカパーが早く普及したとか。情報への渇望がITへの関心を促進したのではないかという説もとても興味深かったです。福野さんをはじめ、福井の技術者の方々は、技術だけではなく、ビジネスや地元行政と技術との関わり方を模索しており、技術に対する視野が広い方が多いのではないかという印象を受けました。そしてとてもポジティブで、良いよなあー。
そんな福野さんが今取り組んでいらっしゃる事のひとつが、「電脳メガネ」。ウェアラブルコンピューティングの時代を迎え、IT × 眼鏡で、これからは鯖江の時代だ!世界に羽ばたく福井の鯖江市、そんな未来が本当に来そうだと思いました。はー、楽しみだ〜!

DocPad と Ghostlab で Web 制作をスピードアップしよう by @shirokuro331 さん

今回招待していただいた、wcaf主催のささきさんのプレゼン。実は DocPad も Ghostlabも知らなかったんですが、スゴく便利そうで使ってみようと思いました。DocPadは、Middlemanなどに似た静的サイトジェネレーターなのですが、Bootstrapなどのよく使うテンプレートが、Terminal からダイアログ形式で選べて、すぐにプロトタイプのひな形が立ち上がるというスグレモノ。プロトタイプを速攻で作りたい時なんかは、Middlemanよりも良いかもしれないと思いました。CoffeeScript製というのもオシャレだ。Ghostlabは複数のデバイスやブラウザをSyncしてくれるもので、こちらも便利そう。とても参考になりました。実演も上手だったなあー。ウラヤマシイ。

福井の素晴らしさ

盛りだくさんで素晴らしいイベントだったのですが、何といっても一番感動したのはやはり福井の良さでした。ITに対するアツさ、ポジティブさ。皆さんスキルが高く前向きで攻めの姿勢だ。保守的な感じは微塵も受けなかった。東京ばかりが何かと脚光を浴びがちで、人も集まりすぎだけど、本来、どこに住んでいてもコミットできるのがITの良さだ。これから業界が成熟するにつれて、地方に進出する技術者も増えそうですが、福井は地方とITの関わりあいにおいて、素晴らしいロールモデルだと思いました。
あと、カニカニマジうまい。越前ガニのメスはサイズが小ぶりで、ミソと卵がものすごくおいしく、「せいこがに」と呼ばれる。このせいこがにをごちそうになりました。このカニ、福井の地元の方々に愛されており、福井のスーパーでは数百円で買えてしまうらしい。仕事帰りにカジュアルにカニとビールを買って帰る幸せ、いいなあ。お刺身も東京の3倍くらいの厚みがあり、とてもうまい。
福井は県民の幸福度が全国でナンバーワンの県なんだそうです。そりゃー、食べ物がこんなに美味しくて、さらに人々は前向きで、福井、マジいいよなあと思った。
本当、ありがとうございました。また行きたい。