SONYの新ブランドメッセージ「make.believe」で遊んでしまいました。
すみません、いつもソニーネタには食いついてしまいます…。
ソニー信者というほど熱心にソニーの事を考えているわけではないのですが、ソニーに対しては常にアンビバレンツな気持ちを抱いています。基本的にはとても好きなんですが、「ちょwwどこ行くのソニーwww」とツッコミたくなる変な魅力がある会社だ。またソニーの方でもこんな我々の「ソニーにツッコミ入れたい」という熱い思いと期待になぜかいつもに応えてくれる。なぜなんだ。いや、大好きなんですが。世界的大企業なのに、なぜかいつまでも小さな少年のような魅力と危うさを感じる会社なんだよなぁ。まさに「坊や(=SONY)」なのだ。
ソニーは9月3日、同社の企業姿勢をアピールする統一ブランドメッセージ「make.believe」(メイク・ドット・ビリーブ)を全世界で導入すると発表した。
(中略)
「make」は思いや着想を実際の商品や体験として形にする同社の行動を、「believe」はアイディアや理想像など同社の精神を表し、「.」が精神と行動をつなぎ、想像を現実へと結び付ける同社の役割を象徴しているという。
うむむ…。良くも悪くも高度経済成長を代表するユニークな存在であったソニーらしさが出ているメッセージだとは思う。
今日では技術革新がコモディティ化してしまい、工業でもカルチャーでも「新しいモノ」というのが生まれにくくなった。その上、技術革新は人の生活を便利に楽しくすることと同時に諸刃で、環境破壊や傷つけ合う道具にもなったりする。「進歩」って本当に良いものなんだろうか?これ以上、今までのように人間はモノを作り続けてて良いのだろうか?そういうことを考えざるを得ない時代だ。
そんな時代に、それでも作り続ける。それでも、革新を目指し続ける。それが良き未来を作ると信じる。人間の力を信じ続ける。といった、ソニーの意思を感じる。
拡大解釈し過ぎかもしれないが、メッセージ内容としては個人的に結構好き。
"create"ではなく"make"、"faith"や"trust"ではなく"believe"にした理由というのも考えると深い。
時代の空気を読みながら迎合するよりも、自分は自分であり続ける事を大切にする。そんな人が居たっていいと思うんだよね。それが多分ソニーの魅力なんだろう。
でも、あの、すいません、やっぱそれあんまりかっこよくないです…。
と、内容はともかく…一番の問題はカッコ良くないことだ。
わし、やっぱりソニーさんにはカッコ良く居て欲しいのだ。なんたって、"It's a Sony"や"like.no.other"のカッコ良さには隙がないのに、"make.believe"にはどうも隙だらけだ。
今のソニーが隙だらけだ、と言ってしまえば身も蓋もないが、カッコ悪さや迷いまでド正直に表現してしまうのは、CIのクオリティとして普通にどうなんだ?
昔のソニーのようになんとかカッコ良くならないものだろうか?とタイポグラフィ好きなデザイナーの血が騒いだので、色々遊んでみた。
フォントを変えてみた。
もともとの"make.believe"は多分Century Gothicというフォントをベースにしたものだと思うが、なんだか丸すぎる感じがするのでこれを変えたらどうなんだろうか。と思ってやってみたけど、これが結構難しい。make.believeを普通に平打ちした時に字面そのものが持つ素のカッコ良さがやはり足りないような…これ仕上げたデザイナーさんの苦労がしのばれるなぁ。
明朝体
フォント:Centurey Old Style Std
SONYの明朝と同じくメッセージも明朝にしてみた。うーむ。イマイチか。ソニー本体の明朝がすごくカッコイイ明朝なんですよね。力強くて、スクエアで、普遍的な魅力があって実にいいんだなー。すごい優秀なタイポグラフィだと思う。これと似たフォントでやるとカッコイイかもしれないがちょっと手持ちになかった。欲しい。
Helvetica
フォント:Helvetica Neue Light
グラフィックデザイナーの正義、ヘルベチカ。世界で最も美しいゴシック体、ヘルベチカ。"like.no.other"も"It's a Sony"も多分コレだったような。うむ、さすがはヘルベチカさん。悪くない。でもちょっと弱いかなぁ。
スクエアなゴシック
フォント:PalindromeExpandet(ちょっと平体)
これはソニーに良く合うフォント、としてこのフォントのことを昔「ソニーフォント」と呼んでいた(自分の中だけで)。普通にソニーっぽい感じはするが、少し美しさに欠けるかなぁ。"m"とか"a"とか"b"とかの形をちょっと手直しするとグッと良くなるかも。めんどくさいからそこまでやらない。
タイプライター風味
フォント:Coulier
工業革命の始まり、原点回帰としての意味を込めて、タイプライター風フォントにしてみた。結構嫌いじゃないです。なんかちょっとプログラミングのスクリプトっぽいし、頑固な技術屋っぽくてイイ。どれか選べって言われたら自分ならコレかなぁ。単体で使っても場が持ちそうだし。
ビットマップ
フォント:Hachipochi Eight
じゃあもういっその事技術技術でビットマップにしちゃったらどうなんだ、とやってみた。これも意外と悪くないかも。でももっとヒューマンな方向に持っていきたいんだろうなぁ。一時期のソニーは割とデジデジしたイメージだったけど、今やると古い感じだよねぇ。時代に左右されてしまうタイプフェイスだ。
2つのワードを並列関係に並べることの歯切れの悪さ。
うーん、フォントを変えてみたけどどれも今イチピンと来ない。と、するとこれは"make.believe"というワードそのものが持つポテンシャルの問題じゃなかろうか?
そもそも、"like.no.other"にしても、"It'a sony"にしても、3つの単語で構成されて言い切っているのでカッコ良くキマっている。他の企業のブランドメッセージにしても、浸透していてカッコイイものは割と3語で構成されていることに気づく。3語の内の、真ん中のワードを「no」とか「a」とか弱めの単語にして(副詞が多い)、抜きを作っていることでメリハリがついてシャープになっている。
…ね?
"make.believe"の二つのワードは並列関係だ。並列関係に二語を並べてそこにストーリーやメリハリを想起させるのは難しい。多分真ん中の"."(ドット)が抜きの役割を意図して入れられている気もするが、"."が弱すぎるんじゃないかなぁ。公式の説明では、"make"と"believe"をつなぐ役割として"."が入れられているということだが、"."にした意味ってなんなんだろうねぇ。ピリオドだとしたら終わってしまうし…文脈とか、そんな意味だろうか?ネットの.comみたいなパス表記をイメージしたとか?うむむむ…ここの解釈に苦しむところ。
というわけで、"."を別の記号に変えてみた。
そもそも一言足りないんじゃないか?
しかしながら、やはり3単語あった方がカッコいいし締まりのイイ感じがします。
そもそも、「作って」「信じた」先に一体何があるの?それを明言しないことが、このコピーの歯切れの悪さであり苦しさじゃないの?着地させる「3語目」の言葉が必要なんじゃないか?
という仮説のもとに、3語目を勝手に作ってみた。
make.believe.human
うん、嫌いではない。人間による創造行為を信じる。ヒューマンな暖かみのあるもの作りを信じる。信念を実現し、作った先にはユーザー(人)が居る。でもちょっと長いなぁー。メッセージが壮大過ぎてピンと来ない感じもある。
make.believe.you
個人的には、やはりこの着地点が好きです。作った先、信じた先に「あなた」という相手が居る事、それが未来につながると思うんだなー。これからは、大きな物語を鼓舞するのではなく、パーソナルな幸せを追求する時代だと思うしなぁ。
結局は「慣れ」なのかな。
まぁ、ピンと来ないロゴ変更やブランドメッセージも今までにずいぶんとありましたが、いつのまにか馴染んでいたし気にならなくなった。「慣れ」が解決することは多いなと思います。"make.believe"も忘れた頃にはすっかり馴染んでるんだろうなぁ。
…と思ったけど…
“makebelieve”の検索結果(12 件):英辞郎 on the Web:スペースアルク
make-believe
【名】見せかけ、ふりをする人、偽り、〜ごっこ【形】見せかけの、〜らしく作った、偽りの、架空{かくう}の、作り事の、でっち上げた、代用{だいよう}の
ちょwwwこれは…
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